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一般社団法人日本医療ベンチャー協会(JMVA)オンラインイベント 【 PHRにおける倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)とは 】

一般社団法人日本医療ベンチャー協会(JMVA)オンラインイベント 【 PHRにおける倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)とは 】

本PHR分科会では、PHRに関する課題を整理しつつ、今後の推進に向けた議論を進めたいと考えております。この際に、データの利用一般についても、個人情報保護法等の法令純所の問題だけでなく、いかにして炎上等も含めて対応がされるべきかという議論が広くなされております。これはまさしく、解決すべき倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal and Social Issues)というべきですが、PHRという健康(場合によっては医療)に関連する情報においては、医学における倫理の問題も含めて議論することが求められます。上記のデータにおける炎上等は、利用者側にとって不意打ちになるときに生じるということを踏まえ、インフォームド・コンセントや意思決定に関する視点も議論します。

今回の会合では、まず、尾藤 誠司先生より医療分野における倫理、インフォームド・コンセント等の議論をご紹介頂きます。その後に、藤田卓仙先生より、医療分野でのデータ利用のあり方に関する世界経済フォーラムの提案等も紹介頂きます。ここでは、同意に基づく個人情報の利用や次世代医療基盤法等に基づく匿名化だけでない、公的利用という枠組みからも議論を展開頂きます。

そのうえで、厚生労働省、総務省、経済産業省等でのコロナ情報関連の検討会合や、検診情報等の民間利用も含めたPHRの枠組み検討に参加している当協会落合理事(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)をモデレーターとして、PHRにおけるELSIの視点からの議論のあり方について、ディスカッションを行わせて頂きます。

《 イベント概要 》
● 日時:10月30日(金)18時30分~20時15分(終了時刻は目安となります)
● 参加費:無料
● イベント内容:
【 講演1】 「エビデンスに基づく臨床意思決定」は、常に患者にとってよいことか?人はからだの具合を悪くし、医療サービスの必要性を自覚するとき、何らかの決断事象の前に立つ。その上で、医師等の専門家から自分の病状や推奨される医療の選択肢を「情報」として提供され、その上で専門家とともに意思決定を行っていくプロセスは「インフォームド・コンセント」あるいは「シェアード・ディシジョン・メイキング」と呼ばれている。これらのプロセスの際、あたかも精緻に情報が整理され、それらが正当に理解されれば、正しい選択が導かれるような意思決定モデルが広く認識されているが、実際の決断プロセスはもっと複雑であり、文脈を持たない情報は、意思決定に向かううえで重要な役割ではあるが、役割の一部を担っているに過ぎないと演者は主張する。本講では、臨床現場における意思決定を念頭に置きつつ、決断の「根拠」としての様々な情報がどのように働いているのか、さらには、情報を発信する専門家や当事者が、その情報とともにどのようなやりとりを行っているのかについて解説を行い、現在行われている意思決定プロセスに対して、どのような工夫があることでより「患者にとってよい」決断に向かっていくことができるかについて考察する。

尾藤 誠司 先生 国立病院機構東京医療センター 総合内科
略歴:1965年、愛知県生まれ。1990年岐阜大学卒業 国立長崎中央病院、国立東京第二病院、国立佐渡療養所、UCLA School of Public Healthなどを経て現職。総合内科医として地域住民の一般健康問題に対応する臨床のほか、研修医教育や院内倫理サポートチームの活動を行っている。「ハロペリドールズ」というロックバンドのボーカリストとしても暗躍している。研究領域は臨床倫理、意思決定支援、医療におけるコミュニケーションなど。
bitoseiji@facebook & @Twitter. WEBサイト「うまくいかないからだとこころ」http://umakara.net/

【 講演2 】 「ヘルスケア・データはどのように使われるか~PHRは誰のためか~」
ヘルスケアデータの活用に関しては、現在の新型コロナウイルス感染症の対策を含め、様々な可能性が存在している。第一義的には患者さんや利用者本人のためにデータは使われ、そのためのツールがPHRであると言える。一方で、集まったデータは同様の患者やサービス利用者のために使われたり、全く別の商品・サービスの開発のためにも使われうる。そうしたデータ利用を正当化するための方法が、「同意」を取得したり、「匿名化」をすることであるが、相当な公益性を有する目的のためのデータ利用も認められても良いかもしれない。世界経済フォーラムでは、「社会的な合意に基づく公益目的のデータアクセス(APPA)」の提案を行っている。本講演では、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターでの議論を中心に紹介し、コロナ後の世界におけるPHRのあり方に関して論点を提示する。

藤田 卓仙 先生 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センタープロジェクト長、慶應義塾大学医学部特任講師。
略歴:医事法や医療政策、特に医療分野における個人情報保護法制を専門とする。慶應大学で医学部における産学連携組織(K-PHI)の設立に貢献したほか、名古屋大学経済学研究科において寄附講座准教授を務めた。健康都市構想や認知症対策を含めた数多くの研究機関・プロジェクトに参加。 2018年より世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターでヘルスケア・データ政策プロジェクト長に就任し、新型コロナウイルス感染症対策では内閣官房の接触確認アプリに関する有識者検討会議の委員を務めるほか、コモンパス等、民間の複数のプロジェクトに参加する。主な著書に『認知症と情報』(勁草書房)等。

● イベントスケジュール:
18:30~【 開会のご挨拶 】 日本医療ベンチャー協会 副理事長 山本隆太郎
18:35~【 講演1 】 「エビデンスに基づく臨床意思決定」は、常に患者にとってよいことか? 尾藤 誠司 先生
19:15~【 講演2 】 「ヘルスケア・データはどのように使われるか~PHRは誰のためか~」 藤田 卓仙 先生
19:45~【 パネルディスカッション 】 尾藤先生、藤田先生、当協会落合理事によるパネルディスカッション
20:05~【 質疑応答 】
20:15 イベント終了(終了は目安となります)

● お申し込みはこちらからお願い致します。

● お問い合わせにつきましては、JMVA事務局までご連絡ください。

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